この作品は、2016年に「第6回 街角コンサート」の中で発表されたピアノソロの作品です。
といった、曲作りにまつわるお話を交えた観客参加型のトークコンサートでした。
会場でも観客のみなさんに「ドレミ」を用いて作曲に挑戦してもらい、最後にこの曲を発表しました。
タイトルにもあるように、「ドレミ」で構成されたメロディー(モチーフ)を使い、4声フーガのように折り重ねて6分弱の作品に仕上げました。
曲は、このようなとてもシンプルなモチーフにはじまります。
この曲をずっと支配しているのが、このモチーフです。
右手のソロ(ソプラノ)で提示されたモチーフが、順に、アルト→テノール→バスへと音域を下げて登場します。
4声すべてが出揃うと、新しいシーンへと続きます。
フーガのセクションで言うところの「提示部」にあたります。
4声が揃ったあとは、モチーフの断片取り出して戯れるような「嬉遊部」というシーンを挟み、次の提示部へと進みます。
このあたりでモチーフは徐々に変容され始め、調も移ろっていきます。
ここでは右手の上声(ソプラノ)→左手の上声(テノール)→左手の下声(バス)→右手の下声(アルト)の順にモチーフが登場します。
さらに次の「嬉遊部」を挟み、盛り上がったあと、これまでと違った雰囲気で変容されたモチーフが現れます。
ここでは、右手の上声(ソプラノ)と左手の上声(テノール)のカノンのように重ねられ、何度も繰り返し演奏されます。
いよいよクライマックスを迎えます。
これまでで一番複雑な嬉遊部を経て、冒頭と同じ「ハ長調」で、モチーフが力強く帰ってきます。
(強さのあまり、振動でカメラが動いてしまいました。)
この部分はいわゆる「再現部」にあたります。
ここから徐々にトーンダウンして、曲は静かに終わります。終わりももちろん「ドレミ」です。
完全なフーガのスタイルではありませんが、モチーフが各声部に順番に登場したり、モチーフの断片を使って展開するシーンがあったり、と、フーガ的技法を用いて作っています。
往年の作曲家が古くから挑戦してきた技法をヒントに、私も最小限の素材を使いこなし、音楽を豊かに発展させてみよう!と試みた作品です。